国際的な同盟により、国際的な化石燃料資金提供が78%減少
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クリーンエネルギー・トランジション・パートナーシップ(CETP)に参加する40の署 名国による化石燃料事業への国際公的資金は、同盟結成前の2019~2021年水準と比較して、2024 年には最大78%(年間113億~163億米ドル)減少しました。これは気候変動対策における国際協調 行動が迅速な成果をもたらし得ることを示しています。
しかし各国は再生可能エネルギーに対する資金提供を急速に拡大させ、化石燃料事業への投融資 を継続させる政策の抜け穴を塞ぐ必要がある。
2025年9月30日 — クリーンエネルギー・トランジション・パートナーシップ(CETP)に参加する40の署 名国による化石燃料事業への国際公的資金は、同盟結成前の2019~2021年水準と比較して、2024 年には最大78%(年間113億~163億米ドル)減少しました。これは気候変動対策における国際協調 行動が迅速な成果をもたらし得ることを示しています。
米国は、2025年2月にCETPを離脱したため、同国による化石燃料資金を除くと、減少幅はさらに顕 著となります。化石燃料に対する国際公的資金は最大81%の減少となります。
これらの調査結果は、本日、国際持続可能開発研究所(IISD)、Oil Change International(OCI)、 Friends of the Earth US(FoE US)が発表した新たな報告書『Holding Course, Missing Speed: Protecting Progress on Ending Fossil Fuel Finance and Unlocking Clean Energy Support(目標 を維持、速度を欠く:化石燃料資金の終焉に向けた進展を守り、クリーンエネルギー支援を実現)』に まとめられています。
本報告書は、化石燃料への国際的公的資金提供を完全に終了させるというCETPの公約の履行期限 から2年が経過した時点で、CETP参加国や機関が目標に対してどれだけ進捗したかを評価するもの です。
「CETP参加国による化石燃料資金の劇的な減少は、共同行動が効果を発揮することを示していま す。こうした先駆的取組にコミットする国々は、迅速に具体的な成果を上げられます」と、IISD上級政 策アドバイザーのナタリー・ジョーンズ氏は述べています。
本報告書の著者らは、CETPに参加する17の高所得国のうち、10カ国が自国のエネルギー金融政策 を公約と完全に整合させ、強力な気候リーダーシップを示していることを確認しました。しかし、ドイ ツ、イタリア、スイス、およびCETP離脱前の米国を含む他の参加国は、公約に違反して、化石燃料事 業に対して、総額109億米ドルを承認しました。
輸出信用機関は、残りの化石燃料資金において大きく加担しており、総額の47億米ドル(72%)を占 めています。本報告書は、化石燃料への公的資金からの移行を完了させるためには、これらの機関 の改革が不可欠であることを指摘しています
「CETPは、数十億ドル規模の国際公的資金を化石燃料から恒久的に移行させる道筋を示し、新たな 世界的基盤を確立させました」と、OCIの公的資金キャンペーン・ストラテジストのアダム・マクギボンは 述べています。「この枠組みの成功が進むほど、参加していない国々は孤立を深めます。残る出遅れ 国も参加すべき時が来ました。特に韓国の新政権は、この取組に参加することで早期の外交的成果 を上げ、アジアにおける気候リーダーシップの新たな基準を打ち立てることができるでしょう。」
日本はG7の中で唯一CETPに参加していない国ですが、2022年のG7合意の一環として、国際的な 化石燃料事業への公的支援を終了することに合意しています。しかし、2022年末以降、日本は G7/CETP署名国の中で、国際的な化石燃料事業に対する最大の支援国となっており、化石燃料に 対して、少なくとも78億米ドルの公的資金を提供しています。このうち、2024年度には28億米ドルの 投融資が実施されています。
CETPの枠組みにより、化石燃料への資金提供は歴史的な削減を達成したものの、クリーンエネル ギーに対する資金提供の進展は、はるかに遅れています。CETP参加国による2024年の再生可能エ ネルギー支援額は、2019~2021年と比べてわずか32億米ドルの増加にとどまり、化石燃料事業から 削減された資金の5分の1にも満たない額しか再配分されていません。
「次の課題は、クリーンエネルギー資金が確実に追いつくようにすることです」と、FoE USの経済政策 部次長のケイト・デアンジェリスは述べています。「再生可能エネルギー事業への支援、特に新興国 や途上国における支援を急速に拡大しなければ、CETPの潜在能力は十分に発揮されないままで す。」
本報告書は、包括的な進展を確保するため、CETP参加国に対し以下の措置を要請しています:1) 化石燃料に対する金融規制の実現と監視・管理の強化、2)2026年までに年間少なくとも420億米ド ルのクリーンエネルギー資金を確保するという共同目標に対する約束、3)公正なエネルギー移行を 支援するため、公平な条件に基づいたクリーンエネルギーへの公的資金を提供する、政府全体とし ての戦略の策定、4)国内における新規石油・ガス事業への補助金支給と認可の終了による国内政 策と国際的公約の整合性確保。
2021年11月にグラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で発足 したクリーンエネルギー・トランジション・パートナーシップ(CETP)には、35カ国と5つの公的金融機関 の計40の国と機関が署名しています。2022年末までに化石燃料への投融資を終了させ、代わりにク リーンエネルギーを優先することを約束しました。対象となる支援には、輸出信用機関、開発金融機 関、政府開発援助(ODA)を通じた支援が含まれます。
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編集者向け注記:
本報告書のデータは、国際的な公的資金の流れを追跡する無料データベース「Public Finance for Energy Database」で公開中です。本報告書の発表に合わせて、2023/2024年度のデータも更新さ れています:www.energyfinance.org
著者によるコメント:
アダム・マクギボン、Oil Change International、公的資金キャンペーン・ストラテジスト
「クリーンエネルギー・トランジション・パートナーシップ(CETP)は、数十億ドル規模の国際公的資金 を化石燃料から恒久的に移行させる道筋を示し、新たな世界的基盤を確立させました。CETP枠組み の進展が進むにつれて、参加していない国々は、より孤立した立場にあると見なされる恐れがありま す。残る出遅れ国も参加すべき時が来ました。特に韓国の新政権は、この取組に参加することで早期 の外交的成果を上げ、アジアにおける気候リーダーシップの新たな基準を打ち立てることができるで しょう。」
ナタリー・ジョーンズ、IISD、上級政策アドバイザー
「CETP参加国による化石燃料資金の劇的な減少は、共同行動が効果を発揮することを示しています。こうした先駆的取組にコミットする国々は、迅速に具体的な成果を上げられます。」
ケイト・デアンジェリス、FoE US、経済政策部次長
「次の課題は、クリーンエネルギー資金が確実に追いつくようにすることである。再生可能エネルギー 事業への支援、特に新興国や途上国における支援を急速に拡大しなければ、CETPの潜在能力は 十分に発揮されないままです。」
連絡先:
アイア・ブルニック、IISD、コミュニケーション・マネージャー([email protected])
ジュリア・キボチ、Oil Change International 、コミュニケーション・キャンペーナー ([email protected])
有馬牧子、Oil Change International、シニア・ファイナンス・キャンペーナー ([email protected])(日本語)
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国際持続可能開発研究所(IISD)について
国際持続可能開発研究所(IISD)は、安定した気候、持続可能な資源管理、公正な経済に向けた解 決策の加速に取り組む独立シンクタンクです。IISDの活動は、人と地球が繁栄するため、より良い意 思決定を促し、有意義な行動を後押しします。IISDの300名以上の専門家チームは、ウィニペグ、 ジュネーブ、オタワ、トロントの事務所から活動し、約100カ国の人々の生活に影響を与えています。
Oil Change Internationalについて
Oil Change Internationalは、調査、コミュニケーション、アドボカシー活動を行う団体で す。 化石燃料の真のコストを明らかにし、現在進行中のクリーンエネルギーへの移行を促進 することに重点を置いています。
Friends of the Earth USについて
Friends of the Earth USは、環境を守り、健康で公正な世界をつくるために尽力しています。権力に 対して真実を伝え、人々と地球を害するものを明らかにします。政治家や企業の説明責任の確保、経 済システムの転換をもたらすようなキャンペーンを展開しています。